謹んで新年のお慶びを申し上げます
本年は、福福堂にとって変革の年、兎みたいにぴょんぴょんと元気に跳ねていく年にしようと思っております。皆さまどうぞ本年もよろしくお願いいたします。
実は、福福堂は昨日まで展覧会でした。
お正月を挟んで年末年始の大切な展覧会。
なかなかプレッシャーを感じながらの一週間でした。
ところで年末年始も働き続けると良いことがあります。
良いことってなーんだ?!
そう、それはね。仕事が途切れないからお正月ボケが無いことでーす(もはや自虐ネタ)。
さて年末年始の展覧会が一段落した本日、気分転換のために大倉集古館の企画展に行って参りました。
このチラシの仏像は、国宝「普賢菩薩 騎象像」12世紀の作品(平安)。とても穏やかで優し気なお顔が印象的ですね。鎌倉時代の仏像の雄々しさとはやはり違う、どこか女性的な優美なお姿です。
普賢菩薩は、あまねくいたる処に出現し、すべてのものに教えを説き救済してくれる有難い菩薩さまです。文殊菩薩と一緒に釈迦如来の両脇を固めて釈迦三尊を構成することも多く、文殊菩薩とセットで見られることも多いです。
文殊菩薩が獅子に乗っているのに対し、普賢菩薩は象に乗っています。
前者は知の象徴であるのに対して、後者はその実践を表しているそうです。
そうそう。
知識だけたくさんあって頭でっかちだけど、全然行動しない人っているじゃないですか。
耳年増って言うんですか。そうなってはいけないですね。
知識には実践も伴わないと・・・。ということかな? (たぶん、もっと深い。)
この仏像が作られたと思われる平安後期は、末法思想の影響により仏像が大量発注されていた時代だそうでして、特に普賢菩薩は女人を救済すると信じられていたそうなので、もしかしたら身分の高い女性から発注されたものかもしれませんね。
誰が注文したんだろうか、歴史に名が残っている女性だろうか・・・・想像すると楽しいですね。
さてその他にも見応えのある展示が多かった本展ですが、帰り際に出会ったこの方にちょっと驚きました。
チラシから転載しました。法蓮上人坐像 鎌倉時代・14世紀とのこと。
写真では分かりずらいですが、ぎょっとするほどの存在感です。
水晶を使った玉眼(注1)は大袈裟なほどギョロギョロしていて、少し上目遣い。
口は今にも何かを語り出しそう。
手は何かを押し抱いているようなのだが、大変臨場感のある動き。
お顔をじっくりと拝見すると、すこーしおにぎり型。顎がしっかりしていて意思が強そう。
顔の横幅が広い人は男性ホルモンが強いと聞いたことがあるのですが、この方もこの眼光からしてエネルギッシュ。額にも血管が浮いていて、もしかしたら少し血圧高めかも。
さすが鎌倉時代というリアリズムを感じました。
法蓮上人は九州の修験僧で、洞窟のなかで12年修行したそうです。
どうやらこれは修行が実り有難い宝珠(注2)を手にした場面のようなのですが、この彫像を見ると浮世からあまり離れていない印象を受けます。しっかり肉を食べて運動している体つき。
修験僧はイノシシや鹿なども食べていたということなので、不自然ではないですが、この眼の光はたくさんの人と日頃からコミュニケーションを取っている光ですね。
きっと仏師の近くにこの彫像のモデルがいたのではないかと思うほどのリアルさでした。
今日は魅力的なこの方の、すっかりファンになってしまって、帰途につきました。
この展覧会は9日(月・祝)まで。
虎ノ門にある大倉集古館にて。
注1: 玉眼とは、仏像の眼に切込みをいれ、そこに水晶を入れて瞳を描き、その裏から白い綿や紙でリアルな瞳のようにするもの。
注2: 宝珠とは、仏教において仏の教えの象徴とされるもの。またはどんな願いも叶うという宝の珠のこと。
(ライター晶)
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