貝が象徴するものー包容力 スクラッチアーティスト”ミチヨ”の作品より

蛤貝・𧏛貝 スクラッチ 90x140mm 
蛤貝・𧏛貝 スクラッチ 90x140mm 

緊急でプチ個展を開催することになったミチヨさんから、作品解説が寄せられました。

以下は彼女の言葉です。

 

「蛤貝・𧏛貝(ウムギ・キサガイ)」は日本神話に登場する二人の女神です。蛤貝(ウムギ)はハマグリ、𧏛貝(キサガイ)はアカガイのことです。

 

古事記によると、大国主(出雲大社に祀られている国づくりの神)が兄弟の嫉妬にあって焼死させられた時に、治療し蘇生したのがこの二神だと言われています。貝と女性が関連づけられることは多いですが、ハマグリの白い汁は母乳をアカガイの赤い汁は血を連想させます。一度死んだ大国主が蘇るには、母体への回帰(再出産)が必要だったため、この二神が必要だったのかなと思って描きました。背景は母なる海(羊水)と船(子宮を逆さにした形)、黄色の丸は命のかけら、菱形は貝のかけらのイメージです。中央に描いた太陽を模した形が火傷を癒す大国主です。ハマグリは横縞、アカガイは縦縞模様の貝なので別の形を持った存在が掛け合わさったことによって陰陽みたいな再生の力が生まれるのかなと思ったりもしました。(ミチヨ)

 

真珠貝の中心を傷つけて核を入れると、それを優しく分泌物でくるんでいき、やがて真珠が出来上がる・・・貝には、神秘的でありながら母のような包容力と優しさを感じます。

 

二枚貝の上下の貝殻が同じものでないと決して合わさらないということから、ひな祭りなどでは女の子の将来の幸せを祈願して、貝合わせの遊びなども行われてきました。

絵の背景に見える菱形文様ですが、螺鈿細工などで使われる貝にも見え、また欲張りな私には「ひしもち」にも見えます。

 

女のお子様がいらっしゃる方は、将来のお子様の幸せと、包容力のある素敵な女性になることを願ってお部屋に飾られてはいかがでしょうか。小さいうちには意味が分からなくてもきっといつか親御様の願いと愛情を感じられる時が来るかと思います。