この度の個展の新作について、毛利さんにインタビューしてみました。
Q:今回の新作は「緑」を描いたものが今までより少し多めに感じますが・・・
毛利さん(以下A):
なんだか緑を中心とした自然の姿を描きたくなったんです。緑と言っても決して原生林とかではなくて、人々の暮らしに寄りそうような緑です。
Q:この作品(右)も本当に緑が中心ですね。
A:これは昔、ペルージャに住んでいたときの下宿から見た風景に近いです。いつもこんな風景を見ていた。
だけど僕がいた頃は、こんなに緑が生い茂っていなかったように思います。
前回、ペルージャに行ったときに思ったのは、ずいぶん緑が深くなったなあ、ということ。地球温暖化が影響しているのかな。
Q:今回緑を描きたくなったのには、何かきっかけとかあるのでしょうか?
A:そうですね、自分ではあまり意識していないのですが、昨年秋に伊勢丹新宿店で開催した個展に出品した作品のうちの一枚がきっかけかもしれません。「ここちよい木陰」というタイトルの作品でした。
Q:覚えてます。見た瞬間オンブラ・マイ・フ(注 優しい木陰を歌った有名なアリア)が浮かんできました。
A:そう、僕も描きながらオンブラ・マイ・フが頭のなかで聞こえてました(笑)。
一枚一枚、何を描くかという主題の選定は、決して意識していることではなくて、殆ど無意識なんですよね。殆どが自身の深層心理から沸き上がってくるもの。あの一枚は、なぜかここちよい緑陰を描きたくなった。描いてみたらもっともっと描きたくなった。それで今回の新作に繋がったんです。
Q:興味深いです。
A:僕がイタリアに抱く印象の一つに「無理していない」というのがあるんですよね。なんだか「自然」に対しても人に対しても無理しないで自然体なんですよ。それがイタリアに惹かれる理由の一つかもしれないです。ケミカルなものも沢山あるんですけれど、そういうものとさえも無理しないで付き合うという・・・面白いですね。
毛利さん個展中に有難うございました。余裕がありましたら次は静物画についてもお尋ねしてみたいと思っております。
コメントをお書きください