
伊勢丹新宿店5FカフェRAIKA前の廊下にてプチ個展を開催しているミチヨさんから、また新作画像が届きました。昼間はお客様に説明をして、夜は新作を完成させるミチヨさん、凄すぎます。
以下はミチヨさんから寄せられた文章です。
「埴安」は日本神話に登場する土の神様で、「埴(ハニ)」は埴輪のハニと一緒で粘土のことです。陶芸の神様として信仰されています。
普段土の中を意識することは少ないですが、表層には見えないだけで地上や水中と同様に様々な命が破壊と再生を繰り返しています。私たちには馴染みの少ない混沌とした命のありようを描きたいなと思い、背景には微生物や虫、芽吹く可能性のある種などを紋様化しています。
また、モグラが持つのは燃える火の玉のイメージです。粘土を焼くことで器が作られ、土は人のための道具に姿を変えます。全く違う役割を持つ存在に姿を変える土の神秘性をこの玉に込めました。 (ミチヨ)
縦横無尽に巡らされた金箔が、モグラのトンネルをイメージしますね。近くの公園を散歩すると所々にモグラの穴があり微笑ましく、なんだかモグラは年がら年中トンネル工事をしている印象がありますが、実は先祖伝来のトンネルを補修しながら大切に使うそうです。
ハニヤスもハニヤスの兄弟で夫となるカグツチ(火の神)も母なるイサナミの死と同時に誕生しています。死は終わりではなく再生の始まりです。そのような∞の繰り返しが土の上でも下でも続いています。蜘蛛の子や萌芽は誕生の象徴であり、そして地下の根茎のようなループ文様が、私にはアボリジニアートに通じるものを感じさせます。アボリジニアートでは、〇は大切なもの(野営地や聖地や泉など)を表しますが、ミチヨさんもこの黄金の〇を生けるものたちの巣(Home)として表現しています。
さらに私には、この黄金色のトンネルは私たちがその内に持つシナプス(神経細胞)にも見えます。私たちの体内はそれ自体が宇宙であり、日々破壊と再生を繰り返しています。電気信号が身体中を駆け抜け、命の炎を燃やしています。一度途絶えてしまった神経が訓練によって再生するのは、もしかしたら私たち一人一人の内にいるモグラのお蔭かもしれません。
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