
長谷川理奈さんを知ってから、早や8年が経とうとしています。まだ20代始まったばかりの彼女は、話し始めたら止まらない、色々なことに興味があり多読家であり、少し風変わりな女の子でした。その彼女自身と同様、彼女が描く世界は混沌として色や不思議な形で溢れながら、観る人を引きずり込む魅力があります。
「なんだか分からないけれど、なぜか惹かれてしまう」そう言って個展会場に何度も足を運んだ方が何人もいらっしゃいました。私も彼女の新作を見るたびに、彼女の世界に惹きこまれてしまう一人です。
この作品「ひらいす」は、hiraeth ウェールズ語でもう帰れない場所に帰りたいと思う気持ち、という言葉から着想を得たそうです。
言葉とは国によって、定義づけが異なっていて面白いですね。もう帰れない場所に帰りたい…日本語で言えば「郷愁」が近いのかな?でも郷愁は帰れる場所に対しても使うので、ちょっと範囲がズレてますね。ウェールズ語のほうは失くした大切なものに対する寂寥感があります。
主題の女性は、段々畑をしたアルバムの中に沈んでいくというイメージで描いているそうです。
長谷川理奈さんの描く女性、特に目を閉じている女性は圧倒的な魅力があります。絵の中の女性の混沌とした夢想を一緒に見せられているような・・・・。
長谷川さんは、実は美術学部ではなく、文学部の出身です。
絵と同様、文章についても独創性があり、才能に満ちています。
8年前の彼女との出会いは、私共の公募展に彼女が応募してくれたことだったのですが、彼女は不思議な塔の絵と共に、とても素晴らしい風変わりな手紙を添えてくれたのです。その文才と独自の世界観に驚き、絵の才能と文才のこの二つの才能を潰してはいけないと思いました。
以来8年・・・長谷川さんも今年30才を迎え、現実の中で様々な世知辛さを感じることも多いでしょうけれど、しかし夢を見ながら絵を描き続けています。彼女の頭の中から溢れ出るイメージは尽きることがない源泉のようで、私は彼女のこれからをずっと見守り続けてみたいと思うのです。
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川崎研一 (月曜日, 10 9月 2018 23:36)
二科展入賞おめでとうございます。
岡村晶子 (水曜日, 12 9月 2018 22:27)
川﨑先生 有難うございます!本人もとても喜んでおられます。先生のお祝いの言葉本人にお伝えいたしますね。
伴真奈美 (月曜日, 14 1月 2019 11:13)
長谷川さんおめでとうございます。直接祝福したいです。