やすりで削った丸ペンにカーボンインクを浸し、約5万本もの”線”の集積として猫を描いています。たった一回の過ちも最初から描き直しになってしまうほどの緊張感。インクに浸したあとは毎回試し描きを行います。
印刷用の原稿でしたらホワイトの修正は認めらても、ファインアートの世界ではそれは許されませんので・・・。
細密ペン画という言葉を生み出したのは、與倉先生です。今から30年弱前、まだ大学を出たばかりの頃から、この技法により銀座の百貨店で展覧会を行っていました。当時も今も描くのは「猫」。自分の飼い猫ではなく、近所の野良やどこかで出会った子がモデルです。先生が個展を始めた頃に比べて、今の猫はもしかしたらもっと生きにくい世の中になってしまっているかもしれませんね。
與倉先生の猫は、命そのもの、この小さきものの意思や、尊厳を感じます。
か弱くも強く、自由を愛し、綺麗好きで命尽きるその瞬間まで、たくましく生きる猫・・・・與倉先生の猫には、その霊性まで描かれている・・そう感じました。
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