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丁寧にスクラッチされたイノシシの親子。うり坊には瓜の文様が出ていてなんとも愛くるしく親子の情愛を感じさせるミチヨさんの作品です。
こちらは「絵馬」に描かれた今年の干支の作品。
神様は神馬に乗って御出でになることから、本来神社に馬を奉納したのが絵馬の縁起になっているようです。平安から本物の馬の代わりに板に描かれた馬の絵が奉納されるようになったそうです。そして描かれるものも、馬だけではなく干支など縁起のよいものに広く変化していったとのこと。
私事ですが、昨年は家族3人が合わせて11回入退院をしまして、とてもハードな年でした。なかにはお医者様でさえ「見たことがない」という原因不明な病のものもあり、側にいる私も本当に苦しく神仏にすがりたい気持ちでした。理屈が通用しない何だか分からないことに接すると、人は人智を超えた何かに縋りたいものなのだと思います。一人悶々と病気のことを考えていると気が狂いそうになり、家に飾っていた(少し暗めの)絵も、明るいものに掛け換えましたし、風水も気にしました。
薬師寺や新薬師寺が大切な人の病気平癒を願って建立されたように、人々の願いは美しいものに権化して分かりやすく私達の前に姿を現します。私たちはそこに救いを見出します。
「2019年は『己亥(つちのとい)』。『己』は『成長して整然とする様子』『亥』は『種子の中に芽が閉じこもる状態』を表すと言われる。本作では向き合う猪親子の中心にある金箔の円(核、種)から新しいエネルギーが芽吹く様をイメージした。」とは作者であるミチヨさんの言葉です。
私が通っている或る講座の先生は、日本語の言葉には意味がある、イノチの「い」は息のイであり勢いでありエネルギーであるとおっしゃってます。恐らく猪も「イ」も命のイであり息のイであり生命力そのものを表すものなのでしょう。亥の意味は無病息災ともいいます。
命のエネルギーと「親子」という命の循環、そして金という永遠に変わらないものを丁寧に絵馬に込めたミチヨさんの深い思慮と願い。ぜひ実物をご覧になってみてください。
2月5日まで伊勢丹新宿店5FカフェRAIKA前の廊下にて開催しています。
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