明石恵(あかし あや)さんは、在学中から百貨店で活躍されていました。
彼女のその頃からのテーマは、「箱入り娘」シリーズ。真四角の額に狭そうに入った女の子が、そこから出たいような、まだまだ箱の中にいたそうな、そんな象徴的な作品群でした。


2017年頃から竜の化身を描いたり・・・・と題材に変化を感じるようになってきました。

そしてこのたびの新作「月影」です。(一番上の画像です。)
人物は二人。
彼女たちはツインズなのか、仲の良い双子化した友人同士なのか、自己が確立する前の少女特有の、「誰かと一体化したい」という気持ちの象徴なのか、手をつなぎあいスカートは溶け合って同じような表情を浮かべています。二人はその関係性のなかで世界が終結し、外界との接触をやや拒絶しているようにも見えます。
通奏低音として鳴るのは「月」。
世界中で月は女性と関連付けられて考えられてきました。
その満ち欠けも女性や海、生死のリズムと関係あると言われています。
そして少女たちが手にしているのはウサギ。
月のシンボルでもあり、多産の象徴でもあります。
少女時代の、純真でありながらある種残酷さを秘めたもの、夢想家でありながらそれを理解しないものを切って捨てる殻を感じます。
そういった少女時代を経て、やがて他者を優しく包み込む「女性」になっていくのですね。しかし大人になる前の少女の一瞬の煌きは、なんと儚く、人を惹き付けるものなのでしょう。
一瞬の儚さに対し、使われている金箔が永遠の輝きを象徴しています。
どんな年代の女性であっても、その胸の中に永遠の少女は存在すると感じます。その少女を鋭く描く明石さんという画家の奥深さと今後を大変楽しみに思っています。
この作品は、伊勢丹浦和店で開催している「金銀箔展」にてご覧になれます。
2月12日まで(最終日は5時閉場です。)
明石さんも来場されてますので、ぜひ作家自身よりお話をお聞きください。
コメントをお書きください