期間:2015年8月12日(水)~17(月)
場所: 伊勢丹浦和店 = 美術画廊
作家: 水野 香菜 (日本画)
村瀬 都思 (アクリル画)
明石 恵 (アクリル画)
國枝 愛子 (日本画)
宮嶋 結香 (版画)
平郡 香弥 (油彩)
ご挨拶
アールデビュタントURAWAは、若手作家の発掘オーディションと、その育成プログラムとして2010年から開始しました。
今ではすっかり、埼玉発若手作家の登竜門として定着した感があると共に、全国の美術界の若手ブームの火付け役の一つになったのではないかと自負しています。
私どもは、これらを決して一過性のブームとするのではなく、この取組が今後も継続して、末永く発展していくことを望んでいます。
これまでのお客様並びに関係者の皆さまのご支援に感謝申し上げますと共に、改めて今後のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
自分の足で立つことを
十数年前、私が画廊を始めたばかりの頃のある日、一本の電話が鳴りました。
それは一人の画家さんであり、作品を見せて頂くととても素晴らしいものであり、早速展覧会のオファーをしました。しかしながら、彼の返事を聞いて、私は腰を抜かしました。
「絵を描くのが面倒くさい。」
彼はうつ病を患っていました。
恵まれた家に育ち(しかも容姿端麗でした。)、美術界の最高学府を出た彼は、修士課程を修了した時に意気揚々と都内で個展をしたそうです。彼はこう思っていました。「良い作品を作っていれば、きっと道は開けるはず。」しかし何事も起きず、彼は実家に頼み込み、今度はフランスに留学させてもらいました。そして帰国後また個展を開催、しかし今回も何も起きませんでした。
気が付いたら年だけとっており、生活は困窮し、一緒に暮らしていた彼女にも去られ、彼は心が壊れたのでした。
「大学では、画家として食べて行くことなんか教えてくれなかった。芸術は売り物ではない。良い作品を作りさえすれば、道が繋がって行くはずだった。」そう言って浮かべた涙が、私の心に突き刺さりました。
アールデビュタントURAWAは、「浦和発の若手作家を育てよう」という趣旨のプロジェクトで、伊勢丹浦和店と、有限会社福福堂(千代田区)が共催している公募展です。入選者の展覧会は毎年8月に開催しておりますが、この展覧会で売上が好調であったり評判が良かった作家は、その後個展やグループ展で活躍して頂いています。これまで2010年から2013年までの4年間(2014年は選抜を休止し、過去の作家紹介をする展覧会を開催しました。)で33名が選出されており、そのうち16名の作家が伊勢丹にて、他の百貨店も含めますと約20名が個展やグループ展を開催しております。
この公募展は、これまでのものとは異なり、審査料が無料であること、審査者は著名な美術評論家や大学教授ではなく、美術の現場に立つ百貨店美術や画商が審査するということが特長です。また合格者には、画家として生きていくための勉強会を10か月に渡り無料で受講して頂き、画家としてのセルフマネジメントを学んで頂きます。
既に発足してから5年が経過しており、これまで美術雑誌の完売作家特集で表紙を飾るような人気作家も輩出してきています。お客様の中には、このアールデビュタントURAWAにて若い作家の応援をし、将来人気が出るのを楽しみに待たれる方も沢山いらっしゃるようになりました。この試みが、日本の美術界の若手ブームに繋がったのではないかとの密かに自負しております。
美術大学を卒業しその後アルバイトをしながら、いつの間にか絵筆を折ってしまう作家や、道を見出せなくて病んで行く作家。そんな作家に自分で道を見出してもらいたくて始まった公募展です。この公募展の副賞である無料の勉強会は、例えが悪いですが「エサを与えるのではなく、自分でエサを取る方法を教える」ことが目的です。ユダヤ人は、“知識や知恵こそが最大の財産、全てを略奪されたとしても、頭の中身までは誰にも奪えない”と子孫を教育します。
私たちも、このプロジェクトを通じて、一人でも多くの若い作家が、自分の足で立って歩いて行けることを望んでいます。
有限会社 福福堂 岡村 晶子
1986 東京都練馬区生まれ
2014 東京藝術大学 美術学部絵画日本画専攻卒業2012 6×6展(東京)
2014 東京藝術大学卒業・修了制作展(東京都美術館)
卒業制作作品、帝京大学買い上げ
国境を越えて芸術で会話する ホテル椿山荘(東京)
MVW 福屋八丁堀本店(広島)
2015 個展(東京)
GUAMS8 EXHIBITION(東京)
EGC阪神梅田(大阪)
好きな対象をもっとよく知りたい。そんな欲求から私の絵作りは始まります。 日頃から愛してやまない動植物を見ていて感じた事や似ているところ、どちらか一方では表せない面白さを「静」と「動」で表現できたらと思います。
1992 秋田県秋田市生まれ
2013 東京造形大学 美術科絵画専攻入学
2013 イレブンガールズアートコクレクション (東京)
2014 イレブンガールズアートコクレクション (東京・広島・栃木・大阪)
2015 イレブンガールズアートコクレクション (大阪・東京)
「箱入り娘」というシリーズで、自分が生きていて感じることを、女性が全身すっぽり収まる構図で描きます。カンバスに人物を収めることで、殻の中で夢をみていたい気持ちや、抑圧される心、自分の中で問題だと感じていることを表現し、解放していきたいと思っています。
1985 福島県生まれ
2009 女子美術大学芸術学部美術学科版画コース卒業
2009 個展 gallery YOYOGI(東京)~’13
2010 柳沢画廊(埼玉/浦和)12'
2012 ART GALLERY MUSE(群馬/前橋)
ART SPEACE ERICONA(福島/いわき)
2013 ここを知っている すどう美術館(神奈川/小田原)
2014 諄子美術館(岩手/北上)
作品テーマとしてはおかしな生物とともに現実のような空想世界を感じてもらえるようなシリーズの制作をしようと思います。 カンバスに人物を収めることで、殻の中で夢をみていたい気持ちや、抑圧される心、自分の中で問題だと感じていることを表現し、解放していきたいと思っています。
1989 富山県生まれ (京都府育ち)
2013 京都精華大学 日本画コース 修了
2011 current展 (京都髙島屋オークション)
日展入選(国立新美術館、京都市美術館)
2013 個展(京都)
2015 溢れる色彩展(東京) GUAMS8展(東京)
水のうつりかわる色彩や水面にうつる虚像の世界が、絵を見るひとを、はかない夢の世界に連れて行ってくれるような幻想的な画面つくりを目指して制作しております。
1987年 神奈川県川崎市生まれ
2012年 多摩美術大学絵画学科卒業
2012年 平郡香弥展覧会〜浮き世〜(青樺画廊/銀座)
2014年 平郡香弥小作品展〜遊戯会〜(ソーヤカフェ/西荻窪)
作品テーマは 浮・遊 表現するテーマは『浮・遊』といった“自由”や“解放”がテーマです。不思議な生き物たちが戯れる様子を描きます。”不思議”と”心地いい安らぎ”を見てる人に感じてもらいたいです。
1984 愛知県愛知郡生まれ 名古屋市育ち
2009 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻日本画コース修了
2011~13 Gallery Forgotten dreams/東京
2015 「第4回トーキョー・アート・ナビゲーション・コンペティション」大賞 美術新人賞
「デビュー2015」入選 損保ジャパン日本興亜美術賞「FACE 2015」入選
現代社会において漠然と触れている情報の滝の中で、ふと空洞を感じることがあります。 それは漠然とした欠落感や空虚感であるとともに、何かにつまづいた時に立ち戻るべきニュートラルな場所でもあります。必要以上に外部から答えや自らの姿勢、確固たる信念、等のようなものを求められる時、私は「ある」と「ない」のちょうど中間に戻ってみたくなります。 それは人間が思考を始めるちょうどその瞬間のイメージであり、それを絵画の中で永遠に持続させる試みが近年のテーマです。