小柳 優衣

Yui Koyanagi


 

1988年生まれ。 

福岡県出身。滋賀県彦根市在住。

 

大学時代に『銅版画』の道へ進む。銅版画家として人気作家となった頃、銅版画の技法をベースとして自ら新しい技法を用いて制作する『腐蝕銅レリーフ』という作品を生み出す。

腐蝕銅レリーフは作者の哲学である『営みながら朽ち、朽ちゆくなかで作り出される』と技法・素材の面で親和性が高い。

建物の外装などで見かける浮彫の銅板レリーフとはまた異なる技法で制作される腐蝕銅レリーフは独特の魅力を持っている。

腐蝕銅レリーフはそれ自体が1つの作品であるため版としての性質はなく、レリーフに近い存在といえる。

 

2022年 腐蝕銅レリーフ作品群

「promised boundary」 腐蝕銅レリーフ/450×350mm/¥42,9000(税込み)
「promised boundary」 腐蝕銅レリーフ/450×350mm/¥42,9000(税込み)
「水槽の記憶」 water bowls /腐蝕銅レリーフ/200×150mm /¥198,000(税込み)
「水槽の記憶」 water bowls /腐蝕銅レリーフ/200×150mm /¥198,000(税込み)
「奇妙なかくれんぼ」 hidden and no seeker /腐蝕銅レリーフ /150×200mm /¥198,000(税込み)
「奇妙なかくれんぼ」 hidden and no seeker /腐蝕銅レリーフ /150×200mm /¥198,000(税込み)

2019年 腐蝕作品展-蝶の雫ーより

「ひみつのいりぐち」  インク/銅    150x200mm
「ひみつのいりぐち」  インク/銅 150x200mm
 「 赤ちゃんの吐息」 インク/銅 100x100mm
「 赤ちゃんの吐息」 インク/銅 100x100mm

 「わすれないうた」 インク/銅 150x200mm
「わすれないうた」 インク/銅 150x200mm
「希望」 インク/銅 100x100 mm
「希望」 インク/銅 100x100 mm


Gene Noteエッチング・アクアチント・スピットバイト・手彩色 ハーネミューレ・雁皮紙
Gene Noteエッチング・アクアチント・スピットバイト・手彩色 ハーネミューレ・雁皮紙
外界と意思
外界と意思
poppiness score腐蝕銅版画 インク/ハーネミューレ・雁皮29.5×20cm
poppiness score腐蝕銅版画 インク/ハーネミューレ・雁皮29.5×20cm

artlessness oil on canvas M6
artlessness oil on canvas M6
adagio tea oil on canvas S3
adagio tea oil on canvas S3
「やどりぎのたま」腐蝕銅版画435x340mm
「やどりぎのたま」腐蝕銅版画435x340mm
jasmine腐蝕銅版画 インク/ヨシ紙 8×10cm
jasmine腐蝕銅版画 インク/ヨシ紙 8×10cm
espressivo oil on canvas M6
espressivo oil on canvas M6


経歴

小柳 優衣 Yui Koyanagi


1988 福岡県北九州市生まれ

 

2010 筑波大学芸術専門学群美術専攻特別カリキュラム版画卒業



展示



2008 九州展-90309-/アートギャラリーT+(茨城) no.3-5

 

2008 第6回大野城市まどかぴあ版画ビエンナーレ展/まどかぴあ(福岡)

 

2009 個展「小柳優衣 銅版画展」ギャラリー2+(銀座)

 

2009 The 12th WorkshopOM Prints Exhibition(静岡/新横浜)

 

2009 New Print Artists/ギャラリーJIN(谷中)

 

2009 International Print Exchange Exhibition/ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(横浜)

 

2010 6A105展/文房堂ギャラリー(神田)

 

2010 日中芸術交流展/中国美術学院(中華人民共和国)

 

2010 第3回ビエンナーレうしく2010/牛久市中央生涯学習センター(茨城)

 

2010 アールデビュタントURAWA2010/伊勢丹浦和店(埼玉)

 

2010 院内オープンギャラリー/国立病院機構滋賀病院(滋賀)

 

2010 -Library- 蔵書票展/ギャラリー上原(渋谷)

 

2010 EGC/ながの東急(長野)

 

2010 EGC/ギャルリ青鞜(広島)

 

2010 版画三人展/ギャラリー2+(銀座)

 

2010 個展「TRIUMPHAL ARCH」AetCafe Restaurant la fontaine(北九州市)

 

2011 International Artexpo New York 2011/Pier 94(New York)

 

2011 女流3人の世界展/丸井今井(札幌)

 

2011 尾久発01/北井画廊(東京)

 

2011 EGC/松屋銀座(銀座)

 

2011 個展「腐蝕の形跡」ギャラリー上原(渋谷)

 

2011 びわこ環境ビジネスメッセ/長浜ドーム(滋賀)

 

2011 「U-30」 -Under thirty-/ギャルリ青鞜(広島)

 

2011 EGC/ながの東急(長野)

 

2012 EGC/松屋銀座(銀座)

 

2012 20代の記憶から/さいか屋(藤沢)

 

2012 手ぶらで参加できるワークショップ/岡本太郎美術館(川崎)

 

2012 珠玉の女性アーティスト展/銀座三越(銀座)

 

2012 個展「lllline」ギャラリー上原(渋谷)

 

2012 lllline@shigagin/滋賀銀行長浜北支店(長浜)

 

2012 個展「時雨蝶」伊勢丹浦和店(埼玉)

 

2012 AUTUMN ART FESTA!(新宿)

 

2012 長住夢の住まいづくりフェア(長浜)

 

2012 EGC 福屋八丁堀本店(広島)

 

2013 個展「fleurir!」乙画廊(大阪)

 

2013 第3回東北復興チャリティー「KIZUNA」展/ギャラリー唐橋(滋賀)

 

2013 個展「Gene Note」伊勢丹新宿本店(新宿)

 

2013 EGC/阪神梅田本店(大阪)

 

2013 アートフェア「ART OSAKA 2013」ホテルグランヴィア大阪(大阪)

 

2013 夏の終わりの版画展/銀座かわうそ画廊(銀座)

 

2013 個展「New Melody」ギャラリー上原(渋谷)

 

2013 An in season and beautiful Girls Exhibition/乙画廊(大阪)

 

2014 第4回東北復興チャリティー「KIZUNA」展/ギャラリー唐橋(滋賀)

 

2014 ART OSAKA 2014/ホテルグランヴィア大阪(大阪)

 

2014 アールデビュタントURAWAの足跡/伊勢丹浦和店(埼玉)

 

2014 Three prints artists/乙画廊(大阪)

 

2014 ギフトショー2014秋/東京ビッグサイト

 

2014 アートの贈り物-眠れない夜に/銀座三越(銀座)

 

2014 リオープン展/銀座かわうそ画廊・盛本美術(銀座)

 

2015 花ひらくとき/伊勢丹浦和店(埼玉)

 

2015 ART OSAKA 2015/ホテルグランヴィア大阪(大阪)

 

2015 個展「小柳優衣 銅版画油彩画展」あべのハルカス(大阪)

 

2015 EXHIBITION by ZERO!/ギャラリー唐橋(大津)

 

2015 第29回NHK厚生文化チャリティー展/三越栄店(名古屋)

 

2015 カレンダー原画展「心ここに暦とともに」/銀座伊東屋 K.Itoya(銀座)

 

2016 GINZA ART FESTA/松屋銀座(銀座)

 

2017 個展「錆色の森」フジムラコンテンポラリーアート

 

2019 個展「THE LIGHT」フジムラコンテンポラリーアート



銅版画技法

エッチング


エッチングという技法について制作の流れを解説しよう。

  1. 防蝕コーティングした銅板に、ニードル針を使ってイメージを描いてゆく。
  2. 描き終わった銅板を酸の中に浸けて、コーティングを除去された部分が腐蝕させる。
  3. 必要なだけ腐蝕が進んだら酸とコーティングを洗う。
  4. 銅の腐蝕された部分にインクを詰め、紙をのせ、プレス機に通してイメージを紙に移しとる。
  5. エッチングは深い腐蝕や繊細な凹凸、かすかなキズまでも紙に移しとることができる版画の技法である。

 

Gene Note  エッチング・アクアチント・スピットバイト・手彩色 ハーネミューレ・雁皮紙
Gene Note エッチング・アクアチント・スピットバイト・手彩色 ハーネミューレ・雁皮紙
entrance key 腐食銅版画 8x10cm
entrance key 腐食銅版画 8x10cm
poppiness score腐蝕銅版画 インク/ハーネミューレ・雁皮29.5×20cm
poppiness score腐蝕銅版画 インク/ハーネミューレ・雁皮29.5×20cm


油彩


完成形をイメージしながら描く油彩の描き方は、版画家としてのプロセスに近い。

白亜地を厚く作り、主題はエングレービングしてそこに絵具を填める。油絵具は薄く薄く何層にも塗り重ねるが、決して濁らない。明るく透明感がありながら落ち着いた印象になっておりタブローとしての存在感を感じさせる。

adagio tea oil on canvas S3
adagio tea oil on canvas S3
espressivo oil on canvas M6
espressivo oil on canvas M6
artlessness oil on canvas M6
artlessness oil on canvas M6


どこか象徴的な蝶や花、街、ハイヒールや鍵・・・・それらの作品の奥行きは、暗喩によってより深められている。幼い頃からピアノを愛していたため、モチーフには音楽を意識したものが多い。

 

筑波大学で彼女にフランス語を教えた言語学者の先生は、彼女の絵から感じるものを「共感覚」とおっしゃったが、大変的確な指摘であると思う。音符は踊るうちにそれ自体が弾けて花になる、色になり、鑑賞者の右脳を幸せ色に染める。あたかも音楽を聴いているかのごとく脳が刺激される。小柳優衣が自己の進路を決定する上で、ギリギリまで音楽と美術の路を岐けられなかったことからも分かるように、彼女のなかではこれら二つの分野は、もともと純然と分けて考えるものではないのであろう。

 

また作品のなかでしばしば見られる、モチーフが溶けていくようなイメージ、これらは生命には欠かせない水を表す。生と死のプロセスをつかさどる水は、また破壊と創造の象徴でもある。彼女はこのイメージを表現するには銅版画の技法が最適だと直感し、大学でこの技法を研究した。綿密な腐蝕時間の調整により、その「溶けていくイメージ」を生み出している。

インクは春蔵絵具という日本最古の絵具メーカー産セピア色を用いている。

 (福福堂)