雪やこんこ 霰やこんこ 降っては降っては ずんずんつもる
宣紙 唐墨、190×595mm
田子の浦に 打出でてみれば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ
山部赤人、90×90mm
もうすぐお正月。
新年を迎えるにあたり、お正月にふさわしいことばを展示いたします。
縁起のよいことばを用いたもの、来年の干支「馬」をモチーフに中国の古典を作品にしたもの、
冬をテーマにした唱歌を書いたもの、百人一首を書いたものなど…
今展は「さても、めでたし」ということで、金銀箔下地に書いたり、着物の帯に書いたりもしています。
表装の多くは、和布(昔の着物)を使っています。篆刻(てんこく)でも、十二支や鶴、亀、梅、松などお目出たいかたちを彫ったり、百人一首を彫っています。
また、ライフワークにしている「万葉集」や富山・城端の庵唄なども書いています。
一年ぶりとなる伊勢丹浦和店での個展、さてもめでたい「ことばのかたち」をご覧ください。
牧野洋洋 檀車煌煌 駟騵彭彭 維師尚父
時維鷹揚 涼彼武王 肆伐大商 會朝清明
詩経より
宣紙 和墨 日本画顔料、404×586mm
私の上に降る雪は 真綿のやうでありました
(中原中也)
宣紙 和墨 白抜き剤、273×220mm
技法・材料・道具
書について
紙: 主に中国宣紙を使用しています。和紙よりも植物の繊維が短いため、にじみやすく、淡墨の書を書くのに適しています。
墨: 唐墨(中国製)、和墨(日本製)ともに使っています。ブレンドして用いることもありますが、当日の気候に応じて、水の量を加減しながら、必要な分量を唐硯で磨ります。前展に引き続き、白抜き剤も使っています。
筆: 山羊、イタチ、胎毛筆などの筆を使っています。
篆刻について
石: 中国浙江省昌化市産の昌化石、浙江省青田市産の青田石を用いています。
木: 中国の水印版画の技法を用い、シナベニヤに彫りました。
印泥(篆刻用の朱肉):
油、顔料、もぐさ(よもぎを乾燥させ、裂いた繊維)を練り合わせたもの。日本製もありますが、中国製を使っています。油分が多いため、石との相性が良いように思います。
花の色は移りにけりな徒に 我が身世にふるながめせしまに
小野小町、58×58mm