11月15日(水)~ 21日(火)
10:30 ~ 20:00 (最終日は18:00まで)
オーストラリアの地で暮らして行こうと決めてから、早いものですでに25年目を迎えますがそこには先住民アボリジニの人々の存在は不可欠でした。彼らの深遠な歴史と文化、そして稀に見るユニークなアートに瞬く間に魅せられ、それを「私が日本へ伝えたい」という思いがいつの間にか自分の大事なライフワークとなり、現在に至ります。
‘日常にアートがある喜び’を私はアボリジニアートに出会って初めて体感しました。作品から放たれる不思議なエネルギーは自分のこころに深くまっすぐ’何か‘を問いかけてくれます。その’何か‘こそが、もしかしたら一番自分が大切にしたいものなのかもしれません。
今回の展示では新たな作家も含めた50点以上の作品がオーストラリアの海を越えてやってきました。
私が魅了された世界を是非ご紹介させてください。
皆さまのご来場を心待ちいたしております。
内田 真弓
地上に現存する中で、最も古い伝統を誇るオーストラリア先住民アボリジニの人たちが描く絵画がいまや現代アートの最先端として世界中から大きな注目を集めているのをご存知でしょうか。
1971年に彼らに初めてキャンパスと絵の具が紹介されたのを機に“アート”として世に登場したアボリジニアートですがオーストラリアの砂漠で描かれる彼らの絵画はどれも芸術のための芸術ではありません。
もともと『読む』『書く』といった文字文化を持たなかった無文字社会で暮らすアボリジニの人々にとって絵を描くということは“伝達手段”のひとつだったことはもちろんのこと大地と関わる自分自身の喜びの表現であり、またそのつながりを確認するための“儀礼”を自ら行っている深遠なる行為でもあるのです。
狩猟採集民として長い間移動生活をしていたアボリジニの人々が、いま私たちに「大地との大切なコミュニケーションを取る方法」を教えてくれるメッセージ。それが大地から生まれたアボリジニアートなのです。